概要

前回の続きを、知人から借りて読んだ。サマリと感想を書く。なお、 “滄海” の読みはソウカイで、青々とした海、という意味 (わかんなかった)。

 

『風の海 迷宮の岸』のサマリ

  • 和元22年1月、戴国 (タイコク) でのこと。その国の王様は泰王という (漢字が変わるからややこしい)。前の王様と麒麟は死んじゃった。
  • 和玄32年1月、戴国の麒麟である泰麒 (タイキ) は胎果 (タイカ; ホントはこっちの世界の生まれなんだが日本で出産されちゃった人) だったのだが、10歳でようやくこっちの世界へ帰ってきて、蓬山 (ホウザン) の蓬廬宮 (ホウログウ) で生活し始める。女仙の玉葉 (ギョクヨウ) さんとか禎衛 (テイエイ) さんとか蓉可 (ヨウカ) さんにちやほやされながら過ごす。
  • 泰麒くんは日本でずっと育ったので折伏 (シャクブク; 使令と契約すること) も転変 (麒麟の動物の姿になること) も不可で困惑しちゃうのだが、麒麟の本能により、天啓 (麒麟がなんとなく次代の王に気を引かれて頭を下げちゃうこと) により次の泰王である驍宗 (ギョウソウ) さんを選ぶことに成功する。
  • 驍宗さんは元号を弘始 (コウシ) にして、乍 (サク) 王朝を開く。乍は驍宗さんの名字。

 

『東の海神 西の滄海』のサマリ

  • 大化21年、雁国 (エンコク) でのこと。その国の王様は延王という (漢字が変わるからややこしい)。延麒くんと延王の尚隆 (ショウリュウ) さんが、数百年後に陽子ちゃんと出会う前のこと。
  • 首都である関弓 (カンキュウ) がある靖州 (セイシュウ) の隣の州で、斡由 (アツユ) さんがクーデターを目論む。斡由さんは、表向きは豪胆で傑物に見せているのだが、実際は非を他人になすりつけ、傷を隠すためなら何でもし、過ちをなかったことにするサイコパスだ。延麒くんすらも騙される。ただ、思ったよりも人々がついてこなかったので失敗し、死ぬ。

 

所感

  • 『風の海 迷宮の岸』が、麒麟の人生を解説する物語で、『東の海神 西の滄海』が、延麒・六太くんと延王・尚隆さんの関係性を解説する物語だった。
  • 前回の『月の影 影の海』の、陽子さんの壮絶な人格鍛錬物語のあとに読むと、大分小綺麗な2作だという印象。
  • 「ぼくは、実は動物なの?」これはちょっと困惑する事態だった。: 泰麒くんの知識レベルは読者と同程度で、読みやすかった。
  • 麒麟は血が嫌い。: 泰麒くんはただのビビりかと思いきや、麒麟の本能で血を忌避していただけだった、という種明かし。
  • 「もとはと言えばお前が唆したのだろう」: 斡由さんはハスミンとか榛村さんを思い出させるサイコパスだったね。こういうキャラクターは、常人とは違い、ありもしない話を躊躇なく口から出せるから恐ろしい。