概要

いやあ大変懐かしいぜ!

『キドナプキディング』は西尾維新が戯言シリーズの最新刊だ。今月、2023年2月に出た。戯言シリーズは2002年から2005年までのシリーズだったから、18年ぶりの新作ってことになる。

『りすか4』はりすかシリーズの最新刊。気づかなかったのだが2020年には出ていたようだ。りすかシリーズは2004年から2007年までのシリーズだから、っていうか未完のシリーズだから、13年おいて完結したことになる。

どちらも、前巻の発売から長い時間が経過している。とくに『りすか』は、未完のまま10年以上が経過している。ぼくら往年の読者たちにとっては打ち切りの名作だったのだよ。2020年に完結していたことは本当に知らなかった……。緑さんにとって西尾維新作品は、すでに “子供の頃好きだった本” として心の思い出箱に仕舞われており、最近は情報を得ていなかったからな。

サマリと感想を書く。ネタバレ注意。

 

『キドナプキディング』のサマリ

  • “あの” いーちゃんと “あの” 友ちゃんの娘、盾 (じゅん) ちゃんが主役。
  • 夏休み、帰省しようとした盾ちゃんは哀川潤に拉致される。
  • 拉致先は友ちゃんの実家、玖渚城。
  • 拉致の理由は、玖渚おじいちゃんが盾ちゃんに人工衛星の修理を依頼すること。
  • マジで無理なんだけど、と盾ちゃんが困っていると、首切り殺人事件が発生する。
  • 盾ちゃんはそれを解決する。
  • なんだかんだで玖渚城から脱出することにも成功する。

 

『りすか4』のサマリ

  • 前巻のラスト、夢を操る魔法使いを撃破したキズタカくんだったが、目を覚ますと杭の魔法使いに磔刑されていて絶体絶命だった。
    • そうだよ。我々読者は、その状態で10年おあずけを食っていたんだよ。
  • キズタカくんとりすかちゃんは、待ちの戦法で杭の魔法使いを撃破する。
  • それと同時にりすかちゃんはレベルアップし、過去、未来へジャンプできる魔法使いへ進化する。
  • その勢いで中ボスのおかっぱ鍵ちゃんを撃破したはいいものの、 “鍵” の役割を持つ鍵ちゃんを撃破したことで、りすかちゃんの胎内からラスボス水倉神檎が誕生する。その姿は数十メートルある赤子。
  • ラスボス水倉神檎は本懐である大陸移動魔法を発動する。
  • 我らがキズタカくんはなすすべなく海へ叩き込まれるが、自らの体内にあるりすかちゃんの心臓をひと刺し。海じゅうへ広がったりすかちゃんはラスボス水倉神檎と戦い、勝利したらしい。

 

感想

『キドナプキディング』はなかなか楽めたな。ボケもツッコミもできる盾ちゃんのキャラが好みと合っているし、謎解き部分もわくわくした。人工衛星のくだりも予想外で、そうそうこんな感じだよなってなったぜ。

『りすか4』はそこそこ楽しめたな。キズタカくんが前巻までのようにカッコイイところを見たかったのだが。今回のキズタカくんはボッコボコだったな。鍵ちゃんが4番目のママの生まれ変わりだというのは意味不明で、鍵ちゃんの死が懐妊のきっかけになっている理屈は意味不明で、海へ広がったりすかちゃんの血がラスボスと戦うのも意味不明だった。でもまあ、物語のすべてを理解できる必要なんてないし、キズタカくんが大人になってきちんと頑張っているのを見れてよかったぞ。

“いや、そういうのはもういいんだ。” “突っ張る意味は、もうない。” いい台詞だった。

“十歳のぼくが聞いたら卒倒しそうな” “この (自分の) 勘の悪さ。” このへんもいい台詞だった。

これは緑さんがむかし住んでいた場所のひとつで、荒野のような田舎だ。ぼくはこの堤防をずーっとあるきながら本を一冊読むっていう遊びをしていて (運動と読書を両立できるのがイカすと思っていた)、りすかシリーズはそのうちのひとつだった。

 

覚えた言葉

  • プロバビリティ: なにかが起こりうる確実性の割合。
  • なまなか: 中途半端なこと。生中って書けるけどビールではない。
  • まにまに: 随にと書く。他人や事態の成り行きに任せて行動すること。
  • たらちね: 母親のこと。ああ、これは古文の授業で聞いたことあったな。
  • 羮に懲りて膾を吹く: あつもの (煮物のこと) を食べたらめっちゃ熱かったので、冷たいなますを食べるときにもフーフーしてしまうこと。無意味で過剰な心配をするってことね。
  • レッド・ヘリング: 濃い塩水で塩漬け加工して真っ赤になったニシンのこと。なんで真っ赤になるのかは知らん。慣用句としては、何かから注意を逸らすものを表す。なんか、犬の訓練に使われたのが語源らしいよ。
  • 二条城: 京都にある城。世界文化遺産なんだって。
  • 交誼を結ぶ: こうぎは、親しい付き合いのこと。それを結ぶってんだから、友好関係を結ぶってことだ。
  • 理屈と膏薬は何処へでも付く: やろうと思えばどんなことにも理屈がつく。初見で緑さんは膏薬のことを塗り薬のことだと思ったのだが違う。軟膏、硬膏、絆創膏を合わせたもののこと。湿布はなんか違うみたい。
  • 奪衣婆: だつえば。閻魔大王の奥さん。閻魔が亡者を裁く前に、先んじて亡者の罪の重さを量る奴。具体的には、亡者の服を脱がし、その服を懸衣翁 (けんえおう) とかいうダチに衣領樹 (えりょうじゅ) に掛けさせ、その枝のしなり具合から重さを量るらしい。その重さと罪の重さが比例するんだって。なんで服の重さが罪の重さとイコールなんだよ。……察するに、こいつらは三途の川を渡った先に居るんじゃないか? 罪人は確か川を歩いて渡る (ハズだ) から、服は濡れていて、重いとか。
  • にこ毛: 和毛と書く。産毛のこと。
  • 萌え断: サンドイッチなどを切断したあとの断面図が美しいこと。
  • 三の膳: 日本のなんか伝統的な本膳料理の皿のうちひとつ。汁、刺し身とかを載せるらしい。ってことは皿っつっても皿を載せる皿だな?
  • 一両日中: 1, 2日という意味。それを発言した日が、その1, 2日に含まれるのかは場合による。そんな曖昧な日本語使えるか。
  • エクセシオール: わからねえ。
  • 回折: (物理的な) 波が、障害物をまわりこむこと。……らしいのだが、本文での使われ方が間違っている気がする。
  • 逐電: 行方不明のこと。使い方は、逐電する、でいいらしい。逐は駆逐の逐で、追い払うこと。
  • ハニカム構造: honeycomb のこと。正六角柱を並べた構造。
  • 犬神家、八つ墓村: ともに横溝正史の小説。やたら有名だから、そのうち目を通したいなー。
  • 落胤: 私生児のこと。
  • アン・ブックス: 赤毛のアン・シリーズのこと。
  • ページターナー: 早く続きを読みたくなるような本。
  • とまれかくまれ: ともあれかくもあれ、の音変化形。