概要

親愛なるルームメイトが貸してくれたので読んだ。

もともとは、 COVID-19 期間、くたびれ果てちゃったルームメイトへ、ぼくが贈ったものだったんだよな。だけどその後、この小説がドラマ化したりして、ぼくもすこし興味をもったのだ。

サマリと感想を書くのでネタバレ注意。

 

サマリ

香月さんは、幼いころのトラウマが起因して、女性をたくさん殺害する連続殺人犯だ。その一方で香月さんは賢いので、よく警察の捜査に協力をしている。

その活動中、ひょんなことから霊媒の城塚さんと出会う。城塚さんは霊媒能力で、殺人の被害者の霊を呼ぶことができる。その能力と、香月さんの賢さによって、ふたりは事件をことごとく解決へ導く。城塚さんとしても、能力を人のために役立てたかったので、 win-win であった。

特殊能力を持つがか弱い城塚さんと、強く賢い香月さんのコンビが生まれつつあった。しかし城塚さんは、実は香月さんを凌ぐ探偵である。香月さんは、うまく殺人現場へ案内させられてしまい、逮捕されてしまう。城塚さんは、自分は霊媒ではなく、ただの探偵なのだよ、とネタバラシをする。香月さんはびっくりたまげる。これまでふたりで解決してきた事件は、霊能力なしでは決して解決されなかった。だから霊能力は本物のハズなのだ。

しかし城塚さんの懇切丁寧な説明を聞くところによると、たしかに、どの事件にも、 “イージーモードな手がかり” と “ハードモードな手がかり” があったようだ。城塚さんは “ハードモードな手がかり” で真相を看破したあと、霊媒のふりをして、香月さんへ “イージーモードな手がかり” を提供した。そして香月さんは、霊の力を利用して、自分が事件を解決していたと勘違いしたのだ。

 

感想

  • 香月さんが殺人犯であったことは、最後のほうで明かされる。それにも驚いたし、数ページめくっただけで、城塚さんが探偵であったことが明かされる。驚きが続けざまにやってきて刺激的だった。
  • そのあとに、事件3話ぶんの “ハードモード” の解決編が語られるのだが、その間の描写といったら。城塚さんのパワーが圧倒的すぎて、ぼくらの主人公、香月さんが哀れすぎたな。城塚さんの嫌な女ムーブに引いちゃったこともあって、香月さんを応援してしまったぞ。
  • 香月さんは城塚さんへ惚れていた。しかし実はすべてのシーンで、香月さんは “愛するか” “殺すか” で悩んでいるんだよな。再読に堪える構成だね。
  • この本で、読めるようになった漢字: 擽る。
  • 寝る前の30分に1章読むのによい本だった。