概要

人に借りたので読んだ。だいぶ有名な作品だよね。サマリと感想を書く。
サマリ
- 大昔、超知性汎次元生物たちが、ディープ・ソートというコンピュータを作る。
- ディープ・ソートは “生命、宇宙、その他もろもろの答え” を “42” であると算出する。超知性汎次元生物たちにとって意味不明な解答。
- 解答が意味不明なのは、超知性汎次元生物たちが問いのほうを理解していないからである。よって、次は “生命、宇宙、その他もろもろ” とは何なのかを算出する必要がある。
- その算出に使う、ディープ・ソートを超えるコンピュータが地球。
- 地球は長い時間をかけてその問いを計算しており、超知性汎次元生物たちは我々の次元ではネズミの姿で地球を運営している。
- 計算結果が出るまで、あと5分。
- そのタイミングで、プロステトニック・ヴォゴン・ジェルツの宇宙船が、宇宙のバイパス工事のために地球を取り壊す。
- ネズミたちは怒り狂うが、仕方ないので、地球をもう一度作ることにする。実際に作るのは、惑星建造産業を主産業にしている惑星マグラシアだ。
- ただ、ネズミたちはそこで聞きつける。ひとりだけ、故地球から脱出していた地球人がいるらしい。アーサー・デントだ。
- フォード・プリーフェクトはベテルギウス近くの惑星の出身だ。『銀河ヒッチハイク・ガイド』の地球の項目をアップデートするため地球にやってきた。そこでアーサー・デントと友達になる。地球の破壊についても聞きつけて、アーサーを連れて一緒に故地球を脱出していたのだ。
- ネズミたちはアーサーの脳を賽の目に切って、そこから故地球の算出結果を読み取ることを考える。確かに計算完了まで5分前で、まだ計算は終わっていないが、故地球の一部であったアーサーの脳には答えの手がかりが残っている可能性がある。地球を再建造し、また算出を待つより、これを試すべきだ。
- しかしアーサーの一行に阻止される。フォード・プリーフェクトと、その親戚であり銀河帝国大統領ゼイフォード・ビーブルブロックスと、その仲間のトリリアン、そしてアンドロイドのマーヴィン。
所感
全体的に、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』を読んでいるときのような、 SF ミステリを楽しめた! かつ、コメディ要素があり、地の文芸 (地の文がフザけてて面白い) がある。
アーサー・デントとフォード・プリーフェクトの初期の会話はめちゃくちゃ面白い。
- アーサー「なんかまずいことでもやったかな。それとも世界はいつもこんなふうだったのに、ぼんやりしてて気づかなかっただけかな。」 (宇宙に関するフォードの説明がアーサーには意味不明すぎて出た言葉。意味不明な状況に出くわしたときの所感としてとてもクリアだと思う。)
- フォード「へえ、なんて言ったんだ?」 アーサー「だから聞いてなかったんだよ!」 (これだけではギャグの文脈が読めないが、宇宙人であるフォードに対しても遠慮なくツッコむアーサーが好き。)
好きだった言い回し。
- 「彼らはとつぜん好奇心が消失するという発作を起こしてあわてて黄金の心号に戻っていった」 (なんだこの言い回し。でもスゴく分かる! とつぜん好奇心が消失するという発作を起こすことってたまにあるよね。すさまじい言語化能力だ。)
ワクワクしたこと。
- 地球そのものがコンピュータであるという展開……なんというかある意味ベタだけど、好きだね〜〜〜。
- 地球生物の賢さは 人間 < イルカ < ネズミ だという展開……なんというかある意味ベタだけど、好きだね〜〜〜。
- 滅びたハズの惑星マグラシアが、実は不景気の時代を冬眠してやり過ごしている最中だったという展開……いや〜〜〜スケールのデカい展開、いいね〜〜〜。宇宙 SF モノはこうでなくちゃ。
答えを求める前に問いを理解しろ、について。
- もっともだな。結構有名だよな、答えよりも問いのほうが大切だっていう考え方。
- ぼくが知っている限りだと、ウィトゲンシュタインが “問いが立てられるなら、答えも出る” みたいなことを『論理哲学論考』に書いてる。
- こういう、一般に膾炙している考え方を物語に組み込むことで、シナリオを神秘的にしつつも、読者がついていきやすくなっているんだなあ、と思った!
よくわかんなかったこと。
- 銀河帝国大統領ゼイフォード・ビーブルブロックスは、ひとつ前の大統領ユーデン・ヴランクスから、不可能性ドライブを行える黄金の心号を盗む方法を教えてもらって、黄金の心号を使ってマグラシアまでやってきた。えーと、その際に自分の記憶を一部消していたことは分かる。黄金の心号を盗むためという動機が記憶にあると、大統領に選ばれないから。でも、どうしてマグラシアまでやってきたのか、って、明かされてなくね? それは続編か……。でも伏線を続編で回収するタイプの作品では、伏線回収が見事かどうかは怪しいからな……。だって、 “伏線を作品内で回収するタイプの、高評価作品” は、見事な伏線回収があることを示しているけど、 “伏線を作品外で回収するタイプの、高評価作品” って、続編の伏線回収がヒドい可能性めっちゃあるもんな。
- 巻が分かれていても見事な伏線回収を行うのは、ぼくの中では山形石雄さんくらいだ。 (ぼく『六花の勇者』好きすぎる)