概要

緑さんは同じお財布を16年間使っていた。

またか……。と親愛なるみろりHP常連のみなさんは思われたことだろう、緑さんは事あるごとに、靴下を3年使っただの、手袋を7年使っただの、 iPhone を6年使っただの、物持ちマウントをとってくるからな。

だけど今回はマジで新しいモノが嬉しくて筆をとっているぜ。新財布の話がメインだ。もちろん同じお財布を16年間使っているのはカッコイイが。

一番手前にあるのが16年間使っていたお財布で、まんなか3つがプロトタイプで、いちばん奥が新財布だ。

 

16年間使ったお財布

改めて見るとスゴイなこれは。合皮(たぶん)がずたずたに破れていることから始まり、変色し、形が歪んでいる。

16年間使い続けたファスナーの貴重な画像である。

いや、もちろんこの長期間の間に、お財布を換えようかな、というタイミングはあった。しかし16年間も使い続けられたことには理由がある。このお財布の構造が、緑さんのライフスタイルにマッチしすぎていたのだ。これと同じ構造か、これ以上の性能でないと換えることはできない。それが、このお財布を使い続けた理由だ。

 

「同じ構造なら良いんだね?」

と、あるとき知人が声をかけてきた。「僕が作ろう」。とんでもなく渡りに船な申し出だった。

 

ハンドメイド・コードバン

そして完成したのがこちらのお財布だ。

おしゃれか!!

本作は寸法をきっちり測った上、冒頭の画像に示したよう3つものプロトタイプを挟んで、実際にぼくがそれぞれ数週間試用して使用感のレビューを行った末に、職人肌の知人によって作られている。ゆえに世界に唯一であり、サイズも16歳のオリジナル・モデルと同一で、細かい使用感も問題なく仕上げられている。自分で言うのもなんだけれど、16年間同じお財布を使い続ける奴のこだわりはちょっと異常だ。そんな奴の要望に応えたこの作品もまたちょっとオカシイ。自分で言うのもなんだけれど。

 

コードバン

本体について細かく見ていく。

外側の革は、馬革(コードバン)だ。見てのとおりかなり美しい。肌触りはすべすべで、 Dr.Martens のスムースレザーを思わせる。いや、それよりもすべすべだ。

 

豚革

内側の黒い部分には豚革が使われている。

このお財布は、「カードをたくさん入れたい」という要望に応えるため、内側で何枚も革を重ねている。てきとうに革を選ぶと、とんでもない厚みになってしまう。ここで使われている豚革は薄くて柔らかく、お財布の内装にぴったりだ。

(中指のところにすこしモザイクを入れている。これは、実名でシグネチャを入れているからだ。)

 

アトリビュート

そして何よりこの作品を唯一たらしめているのが、紙幣スペースに隠されたアトリビュート。

おや、これは……?!

そう、これは年始にかいた緑さんの絵である。

この絵はレーザー加工機によってコードバンに刻印されている。以前にコルク・コースターにレーザーで刻印したことがあったが、アレと同じ理屈だ。

このアトリビュートは、「内側のとこに緑くんデザインの絵を焼いたらいい感じにならないかな」という知人の正気を疑うレベルのナイス・アイデアによって実現した。

この絵「LIFE IS ABUSE」は大切な絵であり、お気に入りだ。思想と哲学をこめているので、ぼくにとっては一種の宗教画に近い。そんな絵が刻まれたアイテムが気に入らないわけがない。

 

その他所感

  • ハンドメイド・コードバンは前回のものより厚い。以前のお財布は合皮+布製だった。薄さについて、さすがにこれにはかなわない。
  • コードバンや豚革のアイテムは初めてだ。どのような経年変化が見られるのか、色は変わっていくのか、今はまだ革が固いが、どのくらい柔らかくなってくれるのか。エイジングが楽しみだ。
  • とにかくコードバンの手触りが良い。ボディバッグから取り出すたびにテンションが上がる。

意匠、こだわり、革の質。この手作りお財布は間違いなく至高のレザー・アイテムだ。大切に使い倒すぞ!