概要
ルームメイトに “観るといいよ” と勧められたので観た。公式サイトはこちら↓
サマリと感想を書く。
サマリ
- 三馬太郎くん (役者: 中村倫也) は明智小五郎賞を受賞したあと、専業小説家になったが、都会だと集中できないので、岐阜県八百万町ハヤブサ地区へ引っ越す。
- めっちゃ集中できるし、執筆はとても捗る。担当編集の中山田さんもホメてくれる。
- 勘介くんと友達になって、彼に誘われてハヤブサ消防団にも入る。消防団の郁夫さんとか、賢作さんとか、森野さんとか、省吾さんとか、とかも良い人なので楽しい!
- そんなハヤブサ地区では、連続放火事件とか、不審死事件が発生している。
- 三馬太郎くんは、大好きなハヤブサ地区のため、事件の調査を行う。すると、ハヤブサ地区で広い土地を保有している人ばかりが放火に遭い、他所へ引っ越す際に土地をソーラーパネルの会社へ売却していることがわかる。じゃあその会社が土地を得るために放火してんじゃねーか!
- もっと調べてみたらその会社の裏には新興宗教 “アビゲイル騎士団” がいることがわかる。じゃあその宗教団体が田舎に広大な土地を所持し、町を乗っ取り、聖地を作ろうとしているのが動機じゃねーか!
- もっと調べてみたら、その宗教団体で聖母とされている山原展子 (のぶこ) さんの出生の地が、ハヤブサ地区であることがわかる。ハヤブサ地区が狙われているのはそのせいじゃねーか!
- その経緯を知るころには、宗教団体は大量の信者をハヤブサ地区へ引っ越させていて、もう乗っ取りまで秒読みの状況だった。ただ、たまたま三馬太郎くんが次代の聖母である立木彩さんと恋仲で、教団を辞めるよう説得に成功する。
- 立木さんはほかの信者たちへ、教団が放火事件を起こして土地を手に入れてきた経緯を開示した。信者たちは教団を辞めて、ハヤブサ地区から出ていってめでたしだ。
所感
- 担当編集の中山田さんの台詞 “へえ〜、いいですね、寺当番!” がすごく緑さんを思い出させる、としてルームメイトより紹介されたのが本ドラマだった。自分で観ているときは、とくに “自分っぽいな” とは思わなかった。えてしてそういうものだろう。
- 池井戸潤『ハヤブサ消防団』の小説が原作だということで、なかなか見応えがあった。ときおりナレーションが入るのだが、小説の地の文的な演出だよな。あれはドラマを観つつ、小説を読んでいるような気分になれて良かった。
- 日常系コメディなのかな、と思って観始めたらミステリーだったのでテンション上がったぜ。
- ミステリー要素も面白かったし、メインキャラクターたちも良い人ばかりで、楽しめた。
- 新興宗教といえば、超常的な感覚的知覚をウリにしているようなものが思い浮かぶ。そういう宗教にハマる人というのは、人生においてコツコツと努力をして成功体験を積み重ねることを怠ってきたくせに、他人に認められたいという不相応な望みを持つ人だ。そういう人がコツコツと努力をして成功体験を積み重ねた人たちに勝つためには、 “自分にしか知覚できない” とかそういう超常的な設定に頼るしかない。だからそういう設定を提供する宗教にハマるのだ。
- が、本作の “アビゲイル騎士団” は、そういう側面は見せてこなかったね。人間関係の中で傷ついた人たちへ、法的な保護と、安心できる空間を提供する団体、というような描かれ方をしていた。
- だからさ、 “アビゲイル騎士団” が、放火をせずに土地を普通に購入できていたら、ハヤブサ地区はどうなっていたのだろう? って思うよね。ハヤブサ地区の住人たちが、 “アビゲイル騎士団” を糾弾するときに、いつも “放火をして住人を追い出した奴らめ!” という責め方をしていたのが気になった。ハヤブサ地区の人たちが “アビゲイル騎士団” に強く出ることができるのって、そこだけなんだよね。
- “アビゲイル騎士団” が、立木さんを次期の聖母として選んだ理由がよくわからなかった。出会って数ヶ月の太郎くんに説得されちゃう人を選んでどうするんだ?
- というわけで、事件発生と、真相にたどり着くまでの物語をとても楽しめたのだけど、その一方でハヤブサ地区から “アビゲイル騎士団” を追い出すくだりが、どうも “追い出しやすいよう” 作為的に作られている感じがして、作り物めいていると感じたなー、という感想になった。