概要

あ、新シリーズだ、って思って読んだ。サマリと感想を書く。

 

サマリ

  • “ダ・ヴィンチの浮世絵” をはじめとした、ロマンある宝物を盗んできた怪盗フラヌール。その死後、自分の父親が怪盗であったことを知ったその子どもたちの人生は狂った。
  • 幼児退行した長女、父親に反感を抱き、宝物を返却して回ることを決意した長男、逆に父親に共感した次男。
  • 長男、あるき野道足 (あるきの・みちたり) は、父親の右腕であった閨閥艶子 (けいばつ・つやこ) の助けを借りて、返却業務に精を出す。
  • 今回の目標は、瀬戸内海の海底にある国立乙姫島 (おきのしま) 海底大学へ、 “玉手箱” という宝物を返却することだ。この大学は、元軍事施設で、発癌物質を作っていた。 “玉手箱” は、それが格納されている箱であり、大学の負の遺産だ。大学は現在、普通に癌治療の研究をしている。
  • 道足くんは、エキセントリックな探偵の涙沢虎春花 (るいさわ・とらはるか) ちゃんとか、東尋坊 (とうじんぼう) 警部といっしょに大学へ向かう。取材の名目で潜入し、あわよくば返却を完了させちゃおうという目論見だ。
  • そこで道足くんの弟、軍靴 (ぐんか) くんの邪魔が入り、返却は阻止される。殺人事件を偽装し、状況がてんやわんやする中で “玉手箱” を軍靴くんは怪人デスマーチを名乗り、道足くんの邪魔をすることを宣言する。

 

感想

  • うーん、どうしても『戯言シリーズ』を思い出しちゃって、比べちゃう物語構造なんだけれど……。それを比較して、なんだかキャラクターの薄さを感じちゃうし、事件の印象もぼやけている。
  • というのも、のちのシリーズのために設定の種が蒔かれているのが丸わかりというか、この作品に “一球入魂” している感じを受けないというか、利益のためにストーリーの一部を有料ダウンロード・コンテンツへ分割しているゲームみたいというか、そんな感じだ。
  • エキセントリックな探偵の涙沢さんも、むりやりサマリに含めたけれど、物語において必要なキャラではなかったと思うし……。
  • うーん、あんまり楽しめなかったかも。この感覚は、『悲鳴伝』の “2巻以降” を読んだときの感覚に近い。

 

わからなかった言葉

  • 閨 (ねや): 閨閥艶子さんの名字の漢字だ。これは女性の寝室を意味する。
  • Flaneur: フランス語で、ぶらぶら歩く人を意味する。
  • 死の行進: 囚人が過酷な状況で長い距離の移動を強いられたことを意味する。……なんでそんな名前にしたの、弟くん?