先日読んだ、宮沢章夫『不在』が『ハムレット』のパロディだったじゃん? 乗りかかった船で読んだ。サマリと感想を書く。



1幕
1場 ホレーシオたちが先王の亡霊と出会ってびっくりする。
2場 ホレーシオがハムレットに亡霊のことを報告する。
3場 レアティーズがフランス留学に行く。
4場 ハムレットが亡霊と会い、現王クローディアスへの復讐を誓う。そのためにキチガイの演技を始める。ただ親友のホレーシオにはそれを告げておく。
2幕
1場 ポローニアスが召使に、フランスにいる息子の素行調査を依頼する。何この父親コワくね?
2場 ハムレットが狂った理由をポローニアス、ギルデンスターン、ローゼンクランツが調査するが、わからない。
3幕
1場 ハムレットがオフィーリアをフる。
2場 ハムレットがクローディアスに、先王殺害のシミュレーション芝居を見せる。するとキレる。その様子をみてハムレットとホレーシオはクローディアスが殺人犯だと確信する。
3場 ハムレット、クローディアスがひとりで祈ってるところを見つけ殺そうとするが、どうせ殺るならもっと罪業にうつつを抜かしてるときにしようと矛を収める。
4場 王妃ガートルードがハムレットを叱ろうとする。ポローニアスはそれをこっそり見ていたが、ヒートアップする母子対談の中、激昂したハムレットに刺殺される。
4幕
1場 ガートルードが先程の殺人をクローディアスに報告。
2場 ギルデンスターン、ローゼンクランツがポローニアスの死体を探しに来るがハムレットは煙に巻く。
3場 クローディアス、ヤバすぎる甥っ子にイギリス行を命じる。イギリス王には、着き次第ハムレットを殺すよう親書を記す。
4場 ハムレット、ノルウェー軍がポーランド領攻略のため動いているのをみて、にぶった復讐心を奮い立たせる。
5場 父親をクローディアスに殺されたと勘違いしたレアティーズがフランスから帰ってきて謀反を企てるが、下手人がハムレットだと聞いてクローディアスと組む。
6場 ホレーシオのもとにハムレットの手紙が届き、イギリス行きをUターンして戻ってきたことを伝える。
7場 クローディアスとレアティーズもそれを知り、毒の剣と毒の酒を使ったハムレット暗殺の計画を立てる。そのさなかオフィーリアが水死する。
5幕
1場 メインメンバー、墓場で遭遇する。ハムレットとレアティーズはオフィーリアの亡骸を挟んで口論するが一旦解散する。
2場 ハムレットとホレーシオの会話。親書を書き換えてギルデンスターン、ローゼンクランツを自分のかわりに処刑するよう仕組んだことを明かす。
廷臣が王の意向をハムレットに伝える。レアティーズと試合をせよ。
めっちゃいい試合をしハムレットはノリノリ。王が酒を勧めるが、ノリノリのハムレットはあとでね! と飲まない。かわりにガートルードが息子の健闘を祈って酒を飲む。
試合中、両雄が傷を負う。ガートルードが死ぬ。すべて王のしわざだとレアティーズが明かす。聞いたハムレットがクローディアスを刺し、酒を飲ませる。
ホレーシオはハムレットのあとを追おうとするが、ハムレットが止める。事の次第すべてを後世に伝えることを命じる。
ノルウェー軍のフォーティンブラスとイギリス使節がやってきて惨状にびっくりする。



いや、戯曲に対する思いを改めさせてもらう。読みづらいという印象をなぜもっていたのか、今では思い出せないくらいだ。戯曲読みやすいや。登場人物同士の会話劇がずっと描かれるだけなので、読んでる感覚としてはラノベに近い。劇の台本だと思って読むことで余計読みやすくなった。

お話自体の感想だけれど。別に共感できるキャラクターがいたわけでもないし、とくに思うことはなかった。強いて言うなら、ハムレット結構鬼だよな。ギルデンスターンとローゼンクランツ、はとばっちりじゃないか。確かに俗物ではあったけども。ちと話はそれるけれど、『ハムレット』でこのふたりのことを知ったおかげで、『不在』の須田くんと倉津くんのことが知れた。作中で事故に遭い死んじゃうふたりだけど、あれって秋人くんの仕業だったんだなあ。

ハムレットが突然キチガイの演技を始めたのが意味不明だった。おそらく、行動の真意を悟られないためだろう。

オフィーリアの死が自殺だと明言されていなかったのは意外。でも「悲劇のヒロイン」としては、自分の意志の介在する自殺より、気が狂って木から落ちて水死のほうが相応しいかもしれない。

ガートルードには先王の霊が見えなかったことについて。俺の答えとしては、先王陣にとってガートルードはすでに敵だということだ。お話のなかでガートルードはわりとハムレットに優しくて、ついつい哀れを誘ってしまう。けれど実際、夫の死から一ヶ月でその弟と結婚した奴なんだよな。まあ俺の感覚としては気を取り直すのが早いのはポイント高いんだけど。先王の幽霊は、先王に忠実な者にしか見えないんだろうきっと。