MMORPとは俺にとって何だったのか - なし perfect Unavailable
昔なじみのオリバがこんな表題でものを書いており、ちょっといいなと思える内容だった。あいつは昔から素敵な文章をつくる。なんか雰囲気がいいんだよな。触発されて俺も書く。ネットゲームのどんなところに惹かれたのか、およびソシャゲにも話を広げていたのでそのへんにも触れつつ。



俺にとってMMORPGとは何だったのか。

初めてのMMORPGはマビノギだ。10代だった。さすがに10歳ではない。きっかけはドットハックというゲームだ。当時俺はとっくに実家を離れ知り合いと同居していた。ドットハックにはゲーム内ゲームとしてネットゲームが登場する。初めてネットゲームという存在を知った。というか、ネットに触れ始めたの自体がその頃だ。俺は自分じゃコンピュータもケータイも持っていなかったからな。そのPCは知り合いのものだった。ゲーム内で人と話すのはかなりおっかなびっくりだった。前述のとおりPCは借り物だったので四六時中やりこむことはできなかったが、俺はたしかに初っ端からあの世界にハマっていたと思う。

どんなところに惹かれたのかっていうと。そりゃあマビノギが非常にナイスなゲームだったから。バランスもよくてオープンワールドで、さらにチャットもできるナイスなゲームだったからだ。まあチャットが楽しかったのは間違いない。でもそれは人恋しさとか、友達が欲しいとか、そういうのじゃなかった。チャットってものが面白かったんだ。なにせ初めてのネットだったんだぜ。すべてが目新しかった。そんなんのめり込むに決まっている。

人生でもっともハマったゲームがネトゲだったというのは、かなり利になることだったと思う。その御蔭で俺はネットの世界を知り、ネットリテラシーを理解し、ぱそこんについて人並みの知識を自然に得られた。ブラインドタッチもできるようになった! 何かを勉強したいときは、楽しくゲームでもしながらやるのが一番身につくだろう? その好例といえる。多くの連中がネトゲでリアルを崩壊させるが、俺についてはそれもなかった。いやぶっちゃけ周囲からみれば崩壊してたかもしんないけれど。だけどもともと社会の正規のレールは外れていたもんな。「両親に寄生」みたいなことは環境的にそもそも不可能だったし、成績等もべつに下がらなかった。逃げる現実もない。ゲームは現実の一部だ。分けて考えたことなどない。

あ、もちろん、リアルとネットを分ける考え方は理解している。俺があまり両者を分けて扱わないというだけだ。リアルでもネットでも性格は変わらないし、ネットだからって暴言を吐くこともない。俺がネットで暴言を吐いていたら、リアルでもおんなじこと言ってると思ってくれたまえ。ネットではリアルの立場を明かさないマイルールを持ってはいるけれど、いやあそれは、ネットはせっかく顔が見えないんだから、そこを楽しまない手はないと思うからだ。ほら、年上だとついつい敬語使っちゃったりするじゃん? それがないから楽しいみたいな感じ。

……というようなネット特有の人付き合いの楽しさをゲーム内で楽しめるというのが、俺が思うネトゲの良さだろうか。上述したようにネットやPCに慣れ親しめるというのもあるだろう。可愛い子にはネトゲをさせろ。

マビノギは本当に楽しめたぜ。イヤな奴とのけなしあい、晒しスレ、粘着、普通のケンカ、ムカついてマウスを投げたこと、色々あったが今思えばすべてネットリテラシーの教科書みたいなもんだったよな。晒しスレに一度載ったときは興奮したものだ。自然に鎮火してしまったのは残念だった。そしてギルドの仲間たち、PvPクラブ、マゾいスキルトレーニング、たまり場での談笑、そういったものを楽しめるゲームは他にない。MMORPGをやっていて楽しかったことを思い出そうとすると、どうしても他プレイヤーたちのことが浮かんでくる。ソロでダンジョンへ潜りまくっていたこともあるが、周回を終えてたまり場に戻り、「たでーま」「おけーり」と言い合う楽しさがあってこそだったろう。エリンは故郷のひとつのように感じている。ネットで現在付き合いのある仲良しの連中はほとんどが「同郷の出」だ。なんとなく嬉しい。オリバが帰りたいという言葉を使っていたが、俺にとってもエリンは帰る場所だ。ニュアンスが違うかな?

ただ俺はMMORPGにハマっていたわけじゃあない。マビノギにハマっていただけだ。現にマビノギを引退したあと他のMMORPGを始めても、すぐにヤメちまった。マビノギを引退したのはアカウントハックのせいだ。俺はゲーム内でリアルマネーを稼いで、それをゲームプレイのために運用していた。(MOMでネクポを稼いでFLCを賄っていたってことね。)アカウントハックを受けてそれが滞っちまったのが引退の因だ。そんなもん課金すりゃいい話だが、俺はしなかった。

ネトゲを今後やる予定はない。ソシャゲもやらない。ネトゲは心底楽しかったけれども、くたびれるところもあった。運営の匙加減ひとつで環境ががらりと変わっちまい、それに振り回されることとかね。そういうのはもういい。それに時間をとられるからなあ。最近は趣味が多いから、ひとつの趣味に没頭することはしない。エリンに帰りたいという気持ちは確かにあるが、エリンは「あのころ」だから楽しかったのだ。あのころには戻れない。だから今を「あのころに戻りたい」と思えるような今にするのだ。

この記事を書いて、俺にとってMMORPGとは何だったのかわかったってものだ。過ぎ去った輝かしい思い出。