概要

半年以上、本を読んでいない。親愛なるルームメイトの蔵書から、ひとつ取り上げて、久々に読んだ。サマリと感想を書く。

 

サマリ

裕福なニックさんが主人公。

ニックの奥さんのジュリアが何者かに銃殺され、悲嘆に暮れる時間もなく、ニックは冤罪で逮捕される。人生オワタと思いきや、突然現れた紳士に魔法の懐中時計を渡され、タイムスリップの旅に出る。今回のタイムスリップは、「1時間ごとに2時間もどる」というシステムだ。ニックはまず事件発生あたりの1時間を見て、次に事件発生前の1時間を見て、次に事件発生2時間前を見て……とタイムスリップを繰り返す。そのうちに得た情報をもとに、今回の悲劇の根源を防ぐのがゴールだ。

この銃殺事件は別の強盗事件を発端としていた。この強盗事件は、他の航空事故の発端にもなっており、ニックの活動はジュリアひとりだけでなく航空事故の被害者212名をも救うことにもなるのだった。

この212名にはハイパー富豪であるシェイマスさんの奥さんも含まれていた。魔法の懐中時計はシェイマスさんの持ち物で、彼はこの死を防ぐために、秘書を遣って、ニックへ懐中時計を貸したのだ。シェイマスさんは懐中時計の悪用をおそれ、ずっと封印してきた。しかし今回の最悪の事態をうけ、公明正大で愛をもっとも大事にするニックならやってくれるだろうと思ったのだ。

すべての発端まで戻り、事件を未然に防いだニックは、懐中時計をシェイマスさんへ返す。シェイマスさんは懐中時計をマリアナ海溝へ沈めると言った。その手には、オリジナルの懐中時計と、ニックが未来からもってきた懐中時計があった。

 

感想

タイムスリップのギミックについて。
今回のタイムスリップはスゴいよ。

  • 未来からモノを持ってこれる。つまりモノを無限増殖させることができる。
  • そのくせ、自分自身は無限増殖しない。よってタイムパラドックスは起こらない。
  • タイムスリップの際は、過去の自分がいた場所へ移動する。ゆえに現在の時間軸で詰んでしまっても時間移動によって脱出可能。

正味な話、この仕様がヤバすぎて事件のことはあんまり頭に入ってこない。

ダンス強盗団について。
いやもう、ものっすごい悪党だったな。とにかく殺す殺す、犬まで殺す。だけどフェアに見れば可哀想だよね。魔法の懐中時計という圧倒的な暴力によって潰されたのだ。ダンスも恐れるルカジュという大悪党がいたが、シェイマスさんも圧倒的な権力と暴力をもった為政者だ。口では善良なことを言っているが、結局自分の大切なものを守るために力を行使したのだ。わらわせるね。「正義の味方」がもっとも理不尽な暴力を振るうというアレだ。

ふたつの懐中時計。
そんなわけでぼくはシェイマスさんに不信感をもっているので、一瞬、シェイマスさんは懐中時計を増やすのが目的だったのでは? と訝った。だけどまあ、それはないか。別にこんな機会を利用せずとも、ヒマなときに1時間前に戻れば増やせるのだから。ふたつめの懐中時計は、予備のマホガニー箱に入れてマリアナ海溝へ沈めるのだろう。

しかし一週間後に、また新たな悪事に巻き込まれたジュリアと奥さんが死んだあと、マリアナ海溝をサルベージするシェイマスさんの姿がそこに(冗談)。だけどそこにはひとつしか箱はなくて、ニックさんたちと、ふたつめの懐中時計を拾った悪党たちとのタイムスリップバトルが始まることになるのだった(冗談)。

ていうかこの仕様だとタイムスリップのたびに時計は一個ずつ増える可能性があるだろうが。ふたつになっただけで驚いている場合じゃねえぞ。

懐中時計について
フランスのマルティノ家から紆余曲折を経てやってきた至宝。このアイテムの持ち主は、別に運命なんか操る必要ない。この懐中時計はモノを増殖させることができるのだから。ぼくだったら夕ご飯の準備中に卵がいっこ足りないなんてときにも使うと思うよ。ていうかマリアナ海溝に沈めないほうがよくね? この時計があればエネルギー問題も食糧問題も解決する。宇宙は無限に拡大しているのだから、シェイマスさんの手元でモノが無限に増殖することは世界の摂理に反していないはずだ。ていうか時計自体世界の一部なんだからな。それをしないシェイマスさんはやはりどうにも胡散臭い。このジジーは何か隠しているよ。

 

久々の読書

久々に読むと、小説をどんな姿勢で読めばいいのかわからなくなるな。

  • 字だけ追っててきとうに読む
  • 小説世界の情景を頭のなかで映像化しながら読む
  • 感想文を書くことを前提に、サマリをまとめつつ読む
  • 推理しながらじっくり読む
  • っていうか一文字一文字しっかり読むんだっけ? 描写が長ったらしいところは飛ばして読むんだっけ?

今回はてきとうに読んだよ。