概要
アロマテラピーの話を書く。ひとに聞いたシリーズは3つめかな。
アロマテラピーって何
- 1927年にフランス人が作った造語。
- ケモタイプ精油を使って、精神状態、肉体状態をベターにする療法のこと。
- 法的な定義はない。代替医療のひとつ。
- ケモタイプ精油って何: 同種の植物から作られた精油だけれど、植物の生育環境によって成分が違うという意味。そりゃそうだ。
精油ってどんなもの
- 植物から、水蒸気蒸留法や圧搾法によって採取するもの。
- 複数種類の芳香分子の集合体。揮発性、親油性、軽い比重が特徴。
- 水蒸気蒸留法って何: 水を沸騰させて、その水蒸気を植物に通し、芳香分子を集める。芳香分子は比重が軽く親油性なので、冷やすことで水と分離する。そこを集める。
- 圧搾法って何: 字のまんま。水蒸気蒸留法と比較して、熱を使っていないのが特徴。
- もちろん植物によって精油が採取できる割合 (収率という) は異なる。これで値段が変わるんだね。
- 芳香分子って何 (ざっくり言って): 植物の二次代謝産物。ニコチンとかカフェインがそれ。二次代謝産物は、一次代謝産物から作られるもののこと。一次代謝産物は、炭水化物、脂質、タンパク質とか。
- 芳香分子って何 (化学的に言って): 炭化水素や有機化合物 (炭化水素に酸素が結合したもの) である。このあと記す “分類” は、化学的な構造の違いによる分類となる。 (分かりやすい)
芳香分子の分類
それぞれの精油には、上で触れた芳香分子が何種類か含まれている。そして各芳香分子には、成分によって特有の効果がある。
たとえば有名な “イランイラン” には、 “セスキテルペン炭化水素” と “エステル” に分類される芳香分子がたくさん含まれている。 “イランイラン” には、そのふたつの芳香分子の効果があるということだ。
分類表については Notion の database 機能を使って整理するのがベストだったので、そっちで作った。 Notion であればリレーショナル・データベースを作れるし、ウェブ公開もできるからね。
香調の分類
これは単純に、香りの種類の分類だ。こんなもん人によるだろうと思うが、やはり分類のやり方がいくつかあるみたいだ。 Wiki に載っているだけでも4, 7, 8, 12種類あった。ここでは7種類の分類分けを載せておく。
これらの種類は、円を描いて並ぶ関係性になっており、隣り合う香り同士は相性がよい。
ヒポクラテスの4体液説による体質
突然なんだよ、と思うかもしれないが、これは後述する “体質からの精油の選び方” に使う。体質は、記述からなんとなく決めてもいいし、上述の Notion リンクから見ることができる診断リストを使って確かめてもよい。
各体質は “湿った、乾いた、冷たい、温かい” で分類される。それぞれが芳香分子にリンクしている (このリンクは Notion リンク先にちゃんと図示してあるよ)。だから、この体質と芳香分子をつなげて考えることができるわけね。
以上の知識を踏まえた、精油の選び方
- 香りの好みで選ぶならば、単純に好きな香りを “香調7分類” から選び、それに該当する精油と、それに近しい精油を組み合わせて選ぶ。
- もっとシステマティックに選ぶならば、欲しい効果を “芳香分子分類” から選び、その芳香分子が含まれる精油を選ぶ。
- 自分の体質を診断により判明させ、自分の体質と対局に位置する精油を選ぶ。 (自分に足らないものを取り入れるという理屈。)
人体への作用の仕方
嗅覚の場合
- 鼻腔 → 嗅上皮 → 嗅毛 → 嗅細胞 → 嗅神経 → 嗅球 → 大脳辺縁系の扁桃体 (本能的な快・不快) → 視床下部 (自律神経の中枢) → 自律神経 へ伝わる。
- (自律神経って何なのか押さえないと理解できないので) 神経の分類を以下に記す。
- 中枢神経
- 末梢神経
- 体性神経
- 運動神経
- 知覚神経
- 自律神経
- 交感神経 (アクセル。瞳孔の拡大。末梢血管の収縮。消化液の減少。ようは、日中の活動に適した状態を作る。)
- 副交感神経 (ブレーキ。瞳孔の縮小。末梢血管の拡張。消化液の増加。ようは、夜間の急速に適したリラックス状態を作る。)
- 体性神経
- というわけで、香りによって刺激された視床下部は、自律神経によるアクセルとブレーキに作用するわけだ。
- なお、自律神経のバランスが崩れて現れる症候群を、自律神経失調症という。あーそういうことね、夜なのに日中みたいなテンションになっちゃうってことか。
皮膚の場合
- 成人の皮膚は3kgある。皮下組織を加えると9kgある。
- その構造は、皮脂膜 (弱酸性の皮脂膜が、細菌の増殖を防いでいる)、表皮 (ここに染み込むことを浸透という)、真皮 (ここに染み込むことを吸収という)、皮下組織。
豆知識
- 希釈して使うときの精油濃度のコントロール方法: 精油は1滴0.05mlである。だから精油濃度1%の液体を作りたいときは、5mlの希釈溶液 (エタノールのこと) に1滴加えればよい。
- アロマバス: 全身浴には10滴、部分浴には5滴まで。精油は油溶性なのでお湯に溶けず、直接肌に触れてトラブルを引き起こす。乳化剤と混ぜること。
- 精油を売るとき、医薬品であるかのような表現を使うと取り締まられる。なぜなら精油は医薬品でも医薬部外品でも化粧品でもない。
- アロママッサージにはあはき師法で定められた資格が要る。この胡散臭い名前の法律は、按摩マッサージ、鍼に関する法律。
- 普通、複数の精油をブレンドして多彩なイメージを表現する。ブレンドが成功することを “アコードが良い” と表現する。
- 複数の精油をひとつずつ加えて試すことをステップ法というのだが、ステップを踏むことを “アコードをとる” と表現する。
- ハーブウォーター: ハーブから水蒸気蒸留法で取得できる水溶液のこと。精油は油溶性だがこちらは水溶性。ハーブを水蒸気蒸留法にかけると、比重の違いにより水より軽い精油と、水に混ざったハーブウォーターに分けられるのだ。
- 香りの揮発度のことをノートと言う。早いのがトップノート、ミドルノート、遅いのがベースノート。
- だけど Wiki で調べると “香調” のことをノートと呼んでいる。用語の統一はむずかしいよねえ、というのが所感。