今日は閉じこもって、軽い本読もうー思って『掟上今日子の家計簿』『掟上今日子の退職願』そして『掟上の婚姻届』を読んだ。その順番で読んだのだけど、最後のがいっとう楽しめた。だから今回の表題はこれで。サマリと感想を書く。



冤罪体質の隠館厄介くんは、その体質をかわれ素敵なジャーナリスト囲井さんにインタビューを受けることとなった。インタビュー自体はつつがなく終了したが、囲井さんはその場で彼にプロポーズしてきた。は? って感じだが、事情があるようだ。彼女はこれまで付き合った男性が全員破滅しているという、脅威の呪い体質だったのだ。だから次なる恋に踏み切れず迷っていたのだが……厄介くんはあらゆる破滅を経験しつつもそのたびに回避してきた経歴の持ち主だ。であれば彼なら、彼女の呪いを物ともしないのでは? だから、「わたしあなたとしか幸せになれないと思うんです」とのこと。
でも厄介くんにその気はなかった。そこで彼は探偵の掟上今日子さんに依頼した。囲井さんのこれまでの男たちが本当に彼女のせいで破滅したのか? てか破滅自体気のせいなんじゃね? っていうのを詳らかにするつもりだ。呪いが解き明かされた暁には、プロポーズを断るつもりだ。誤解をもとにして発生したプロポーズなんて受けるわけにはいかないから。
掟上探偵は優秀なのであっという間に呪いは否定されたがプロポーズを断った厄介くんに囲井さんはガチギレした。そのガチギレがあまりに不自然だったので、掟上探偵はもっと踏み込んで推理してくれた。明らかになったのは、囲井さんの「呪い体質」は彼女自身の意図的でっち上げだってことだった。「破滅」した男のうち一件だけ、囲井さんが明確に原因になっているものがあったのだ。彼女はそれを忘れるため、多数の男たちを呪いで破滅したことにし、核となる一件をその多数の事例に紛れさせたのだ。
すべては解き明かされ、めでたしとなった。



掟上さんシリーズは全部、彼女を主人公としたロードムービーだ。でも俺はこれがベストで気に入ったぜ。厄介くんが素敵なんだよねー。ギャグ担当である掟上さんへの、台詞地の文問わぬツッコミが小気味良い。これを読んだら他のロードムービーに戻れねーよ。厄介くんだ、厄介くんを出せ。

最後の「僕はぜんぜん、びっくりするくらい気にしませんよ」がお話の締めとして格好よすぎる。今回の事件の内容を踏襲しつつ、囲井さんのこの後のやけっぱち行動を抑止する台詞だが、厄介くんの優しさ、ちょっと抜けてる性格が現れてる。ていうかこのキャラ、俺の大好きな『緑セレクション』に入れる性格じゃねーか。理性的で、人間的に完成してて、優しくて、人間らしい。掟上さんや囲井さんのイマイチっぷりとの対比でそれが際立ってる。ただなあ、お話全体として、彼が何かを能動的にするってことがあんまりないから、本の単位ではセレクトできないかな。