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あ、そういやミステリの王道ってまだ読んでないな。というわけで選んで読んだ。読書は雑食に行いたい。ミステリだけど、いつもどおりオチまでサマリと感想を書く。(ささやかなネタバレ気遣い。)
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エルキュール・ポアロはイスタンブールからイギリスへ帰るのに、オリエント急行に乗ることになった。その乗車中に乗客がひとり殺される。同乗したポアロの友人ブークさんは、ポアロに事件解決の依頼をする。「ユーゴスラビアの警察が到着したとき、我々の口から真相を告げることができたらどんなに楽でしょう!」
容疑者は寝台一等車の乗客たち。ポアロは被害者の部屋の見分、容疑者たちへ聴取を済ませる。結果、容疑者のラチェットさんは過去アメリカで行われたヒデー事件の犯人だったことが判明し、ならびに容疑者たちが全員その事件被害者の関係者だったことが判明する。全員が共犯では? という仮説が立った。この殺人事件は、ヒデー事件で嫌疑をかけられたにもかかわらず無罪放免になってしまった悪人に対する、被害者関係者たちによる復讐劇だったのだ。
と、もうひとつの仮説としてポアロが提案したのは、外部犯説だった。そもそもオリエント急行が発車する前に被害者は殺されてて、外部犯はイスタンブールで逃げたんだろうってものだ。
結局、全会一致で後者の外部犯説が取られることになった。いくつかの点からみるとその説は明らかにおかしいように見えるけど、まあそれはなんかの間違いだろう。
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というわけで犯人たちは見逃され、復讐劇はめでたく完遂されることになった。いや、まあそりゃそうだろう。この推理が行われたのは隔離された車内だし、そういうことにしなかったら、下手すればポアロさんは袋叩きに遭って殺されちゃう可能性だってあるんだから。その場では「わかんねえ」ってことにして、オリエント急行が到着してから推理するってこともできるだろうが、わりと正当な復讐っぽいし、そこまでガンバる筋合いもないと判断したんじゃねーかな。
ポアロさんはどうも「こんなこともわからないんですか?」タイプの探偵っぽい。いやあ、今の時代なかなか見ないよな、こういうの。そういう探偵って、考えながら読むタイプのミステリ読者には相性がいいよな。読者への挑戦、って感じで。逆に俺や親愛なるルームメイトみたいな全く考えない読者には、米澤穂信の探偵みたいな、一般人に寄り添う探偵のほうが相性がいいかも。ミスリードの仕掛けがあれば、読者と一緒にそれに引っかかってくれる探偵。
このお話の終わり方が好みだった。ポアロさんが推理を披露して、みんなが納得したところで、「説明も終わりましたのでそろそろ退場するとしましょう」でバシッと終了。エピローグとかない。すっきりした読後感だったぜ。