親愛なるルームメイトが貸してくれた。サマリと感想を書く。



コーダ町に住んで兄夫婦とともに小さな店を切り盛りするジャレド・トーマス。ある日コーダ町にタフガイのマット・リチャーズが越してきた。彼はジャレドのタイプど真ん中で、ジャレドはすっかりまいってしまうんだけれど、やんぬるかなマットはストレートだった。ジャレドはその恋をしまい込むことにする。が、しかし良いのか悪いのか、ふたりはめちゃめちゃ気が合うのだった。応援チームは違うけれど同じフットボールファンで馬が合うし、マウンテンバイクで山を一緒にライドすればもう最高。ジャレドのほうはゲイだってことで周囲から孤立してたし、マットは親の指図に逆らって進路を決めたことで家族とも疎遠だし孤立しがちな性格だった。それがお互いソウルメイトに出会っちまったものだからもういっつも一緒に遊んでいた。
ふたりの友情は確かなものだったが、生活に問題がないわけではなかった。ジャレドは家庭教師の腕をかわれて学校からスカウトされるが、心無い人々からゲイであることをあげつらわれるのを恐れて小さな自分の店に閉じこもっていた。マットはジャレドとつるんでいることでホモ疑惑を立てられ、微妙な立場におかれていた。孤独が募る中、マットはジャレドに惹かれていることに気づき、唯一の親友たちは恋人どうしになった。
ある問題が持ち上がった。マットがやたらとジャレドを職場の連中に会わせようとしたり、学校からのスカウトを受けるよう強要してくるようになったのだ。ジャレドは断固拒否の姿勢だ。差別を受けてきたし、もうそんなことは御免だからだ。だがマットは「これからずっと一緒にいるのなら、お前を愛していることを恥じ隠しながら生きるのはまっぴらだ」と説き伏せる。ジャレドは外の世界に立ち向かう意思を固める。
そもそもジャレドは一般的にイメージされるなよなよしたゲイではない。マウンテンバイクに乗らせれば一級の腕前と体力があるし、犯罪者を前に大事な人達をかばうような勇気もある。そういうところが知れ渡ると、あっさりと彼は受け入れられた。マットのどや顔がちょっと気に障るが、ジャレドも彼が正しかったことを納得せざるをえないのだった。



てわけで今回はボーイズラブのお話だった。ボーイズラブの漫画もいくつか読んだことがあるけれど、ハッピーエンド系のボーイズラブは結構好みだ。なんだろうな、俺が男性同士のセックスに興味がないから、いちゃらぶからセックスを濾し取って残った愛情だけが顕著に感じられてジーンとするのかもしらん。ほら女の子のセックスが出て来る話だと、話を頭や心で感じると同時に、ちと表現がアレだけれど下半身でも感じ取っちゃうじゃん。それがないのが気持ちいいのかな。
しかしジャレドはすげえ感じのいい男だったぜ。人当たりが抜群にグッド。自身のゲイをネタにして冗談言ってるときの輝きが半端じゃない。「きみのバチェラパーティを企画してあげるよ。ただしストリッパーは僕の趣味で選ばせてもらうけどね」。山歩きやマウンテンバイクのライドが大好きなのも好感度高いよな。
  • 走り出してしまえば、いやな気分も吹き飛んでいく。だって周りは、僕の愛するものばかりだ……山があって、自転車があって、挑戦すべきトレイルが目の前にある。
『弱虫ペダル』にはまって俺にロードバイクを買わせた親愛なるルームメイトが、いつマウンテンバイクのカタログを持ってくるか戦々恐々だ。ただしジャレドくん、地の文で盛りすぎ!