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引き続きムーミンを読んでいる。まったく恐れいったぜ。牧歌的な筆致に癒やされっぱなしだ。それに、章ごとの見出しに章のサマリがすでに書いてありやがる。俺が読書のたびにサマリを書いてるのは、あとでそのサマリを読み返したときすうっと思い出せるようにするためだ(他にも理由はあるけどさ、そもそも要約という作業が好きなんだ)。が、もうサマリがあるならその作業は必要ない。まあ形式として軽く書くけども。それと筆者みずからによる、大量の挿絵が素敵だよな。こういう写実的な筆遣いが俺は好きだ。
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ムーミン一家の子供たちが山のてっぺんで飛行おにの帽子を見つける。その帽子は、中に入ったものをいろんな姿に変えてしまう魔法の帽子であった。その帽子によって、ムーミントロールはバケモンの姿にされるわ、ムーミン屋敷はジャングルに変わるわ、水を入れたら木苺のジュースに変わってオイシイわ、紙くずを入れるとふわふわ浮かぶ雲になって楽しいわで大騒ぎである。そんなわけで帽子の扱いに困る彼らであったが、なんとか厄介払いをする。貴重なルビーの王様を譲ってもらうため、モランに差し出したのだ。これでめでたし。と思いきやそのルビーを求めて飛行おにが現れた。そうほいほいとやるわけにもいかずお断りすると、彼はすっかり悲しんでしまい、慰めのためにみんなの願いを魔法で叶えてやると言い出した(!?)。いろんな願いを叶えてもらう中、こう言う者がいた。「自分の願いはこうだ、あなたにもルビーの王様と同じものを出してくれ」。そして飛行おにもまたルビーを手に入れ、みんな幸せめでたしめでたし。
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いや、慰めのためにみんなの願いを叶えてやるってなんぞ!? とまあところどころ俺にはよく分からん話はあるけれど、生来のんきな世界だし、というかまずこの連中は人間じゃないしモラルとかも違うんでしょ…と緑さん的には納得が可能だ。
全体についての感想としては先回の「彗星」と同じで、これはムーミン谷という世界観を描くことが目的なんだろうなあと。のほほんとした休日を過ごしたいなら手放しで勧められる一品。
今回もスナフキンは素敵だった。というかコイツだけまとってる雰囲気が違うのだよな。その理由は多分、ムーミン谷のメンバーで抽象的な物言いをするのが彼だけだからだろう。抽象というのは具体の対義語で、ものごとの持つ共通の性質をまとめあげることだ。たとえば「赤」、「緑」を抽象化すると「色」になり、「色」を具体化すると「赤」、「緑」になる。抽象化というのは知性の必要な技術だ。つまり抽象は知性を醸し出す行為と言える。だからスナフキンはカッコ良くみえるんじゃねーかな。