前回読んだ『言葉と歩く日記』に言及があったので読んでみた一冊。語り口が肌に合わなかったので流し読みのみ。受験作文がどのように生まれ、その評価基準がどのような変遷を辿ってきたかが書いてある。


ひとつ興味深かったのは、筆記用具の変化が作文の傾向に影響を与えたという点かな。最初期に用いられた筆記具は主に筆とペンだ。書き直しはきかない。ゆえに試験時、与えられた問題についてまず思考し、言いたいことをまとめ、最初に結論→その説明、というかたちで作文を展開するのが主流であった。それが書き直しの易い鉛筆に以降することでむしろ書きながら考え、文末に力をいれる形式に移ったそうである。
俺の好みは前者。論文はつねにまえがきで本論での問題、そして結論を書く。ここまでで結論が理解できる人には数行読むだけの労力しか強いない。そうでない場合には、続きに解説があるのでどうぞ、という形式だ。少数例からの一般化はすべきじゃないけれど、どうもまえがきで「こういう疑問を持ちました。いったい何なんでしょうか」からの本文、最後に「というわけでコレコレという結論になります」という人が多い気がする。あまり好かない。