「みどりん♪ その服装で私の隣歩かないで♪
って親愛なるルームメイトに言われたことがある。

みどりんは吹き出した。
「クソワロタwwそんなこと言われたことねえwwそういう歯に衣着せぬ物言い好きだぜw」

そしたらルームメイトが俺にインナーからアウターからパンツまで一式買い与えてくれた。
「これ着てね♪」

おや? もしかしてみどりんのファッションセンスってガチでヤバイ?

それから数年、俺は服をひとりで買いに行くのが怖い症候群を患った。こえーよ。ファッションこえーよマジでわかんねーよ。ルームメイトたちも最初はアドバイスくれようとしたんだけれど、連中メンズファッションはわからんし俺は俺で
「いやスキニーパンツとかおかしくね? なんでわざわざ歩きにくい服着んの?」
「ランニングシューズ以外のクツって価値なくね?」
「手が塞がるトートバッグよりリュックのほうがいいに決まってんじゃん」
「てか片手にバッグもつと重心が狂うから整体的に害悪じゃね?」
とか言うから手に負えん。

だけどこないだちと転機が訪れた。きっかけは親愛なるルームメイトのこんな言葉だった。
「私がお洒落するのは、もちろん自分のためでもあるけど、一緒に歩く人に気分よく歩いてもらうためでもあるよ。」
「なるほど!」
なるほど、だった。確かに連中は素敵で、一緒に歩いていると俺は良い気分になる。だけどこの俺は果たして、連中に一緒に歩くのが嬉しいと思われるような奴だろうか? そんなこと一度も考えたことがない……。



そんなわけで。





そんなわけで服とブーツを買った。決意したからといってファッションセンスが舞い降りるわけじゃないので、こんな手法を用いた。
  • ルームメイトたちにお店についてきてもらう。
  • 店員さんに今風のコーディネイトを着せてもらう。
  • その中から、ルームメイトたち好みのコーディネイトをチョイス。
  • その服を何も考えず全部買って何も考えずそれを着る。
これが大正解だった。まあ親切な店員さんに出会うまでいくらか苦労したが、自分に合った価格帯のお店を探して、話しやすそうな店員さんを探して、少しお喋りして仲良くなりつつ相談した。最後の項目がとても大事で、俺は何も意見しないこと。少しでも意見をすると皆様に「んー(汗)」されてしまう。








服はあってもコーディネイトがわからんので、店員さんが教えてくれた組み合わせを写真にとって、これに沿って着替えるようにした。これで完璧だ。「最近服いいですね!」「今週なんかめちゃめちゃイメチェンしてないですか!?」「この一週間でお前に何があった!?」と評判も上々。