知り合いのツイートで興味を惹かれたんでプレイした。HPはここ(アステカのツンドラ)。



王国の王子候補のひとりとして試練を受ける男の話だ。王子候補はそれぞれ側近を選び、かれらと共に国中に散らばる紋章をかきあつめ、一番多く紋章も持ち帰った者が王子となれる…。そういう試練なんだが、そいつは世界中を旅するのが夢で、王子になんてチャンチャラなりたくない。幸い王様が気持ちをくんでくれて、試練で勝利したらそれを許すと言ってくれたのでまあ張り切ってみるかーって感じなんだが、しかし試練の側近になってくれた子、クーフィアは彼が王子になることを心から夢見て、その側近として生きることを望む一途な子であった。や、やっべー試練には勝ちたいが王子にはなりたくないんだよなー…と心苦しい旅路である。みたいな話。



インタフェースはRPGっぽいけど、これは茶の字が言っていたとおりAVGだね。ほぼ一本道のゲーム、とのことだったけれど、まったくそうは感じなかったぜ。選択肢が多く、それが唖の主人公の性格を形作っていくというわけで、かなり世界に入り込んで動けて楽しめたよ。これは楽しめた。

辿り着いたエンドは四人の王国だった。満足してる。王国のほうの問題もなんとかしたかったが、あの話の展開になってしまったら俺自身でもこのエンドを選ぶだろう。

シナリオの感想。
  • 何が楽しめたって、世界に入り込んで遊べたことだ。主人公をかなり自分自身として動かせた感覚があった。もちろん展開はほぼ一本道だったんだけど、それは唖設定がカバーしてくれてる。「ああいう障害があったら、確かにこういう場面流されてしまうかもしれん」と強制的な物語展開を自分の中で納得できるのだよな。
  • とりあえずオープニングから与えられた「あなたは立場を捨て世界を旅したい」という設定に従って動いていた。クーフィアの望みも叶えてやりたかったが、自分の望みが最優先だ。申し訳ないが、要所要所では側近連中をはぐらかさず、はっきりと自分の望みを貫かさせてもらった。
  • でも俺は自分で自分の夢や目標をはっきり口に出して言える奴がいちばん大好きなのだ。だからクーフィア自体は好きだ。だからルート選択時では、危険地帯に左遷されたクーフィアを助けに行くことに逡巡はなかったぜ。自分の望みをクーフィアより優先するのは変わらないが、大好きなタイプの人間が命を散らすのは惜しい。そういう選択だった。
  • で、まあそのへんで「クーのことをどう思っているか」って選択肢が増えてくるんだけど、ここらへんでは選択肢の字面と、俺の意見の乖離を感じたかな。たしかに「クーのことが好き」なんだけど、それは、夢をはっきり口に出して言えるって人間性が好きなんであってだなあ、そんな甘いアレでは…って感じだ。そもそもクーちゃん、精神がいかれてるだろ! この段階ではノーセンキューだ。
  • しかし最後に「四人の王国」という、全員の望みがほぼほぼ叶う道を叩き出したところは良かった。痺れた。恥ずかしながらクーちゃんにそう提案されるまで俺はそういう考え方は思いついてなかった。ホント先を読まないよ俺は。だからエンドは気持ちよく迎えられた。
  • ……のだけど、リカには申し訳ないことをしちまったよなあ。マジでアイツも一緒に連れて行ってやりたかったんだが。好感度という点ではクーよりリカのほうが高いんだが、人間として評価しているのは上述の通りクーだったんで。
  • 俺が作品を楽しめる条件がキャラだってことに改めて確信をもったぜ。共感できる主人公と、評価できるクーちゃんね。終盤の選択肢ではこっちも熱くなれて、迷わず一貫してクーを助ける選択ができてよかった。だからもちろんクリア後アンケの好きなキャラはクーだ。でも嫌いなキャラもクーだぜ! …だから、好感度という点では低いのだよ。

他こまごま。
  • 結構えぐい表現が多かったのには驚いた。タイトル画面詐欺だろう。めっちゃほのぼの系だと思っていたのに…。リカがボコボコにされるあたりまではさもありなんって展開だったが、辛辣な発言とか、キャラが酷い目にあったりとか、エロ描写とか結構あってびっくり。なお最後から二番目のキス以外は全部拒否を貫いてたぜ。まあ、世界に入り込んでたらそうなっちまった。
  • こないだのデビサバ2BRのときの経験を活かして、二周目とかエンドコンプはしないつもり。気になる分岐がないわけじゃないけれどね。
  • ときおり出題される謎解きイベントもよかった。せいぜい20分くらい考えるようなもので、さらに、わからなければ仲間がアドバイスをしてくれるっていう作り、俺にとっては最高だよ。
  • たまのサスペンス、ホラー展開もよかった。ホント飽きるということのないゲームだったぜ。
  • プレイ時間は7時間弱。



茶の字が「鏡のようなゲーム」と言っていたな。「俺が主人公だったらこうなっていただろう」って結末をちゃんと見せてくれた、って意味でそれはまこと的を射た表現かもしんねー。つーか、早くも、めっちゃ早くも、緑的2017年のベストフリーゲーム決まっちゃったんじゃねーか?