概要
知り合いが貸してくれたんで読んだ。プログラミングのコードをどうやって読みやすく書くかっていう話。技術書ではなくて知識もいらないし、几帳面な緑さんの肌に合う話題なんでサクッと読めた。サクッとまとめる。
ざっくりとしたまとめ
コードは人が最短時間で理解できるよう書け。理解とは、変更を加えたりバグを見つけられるという意味。
具体的には
変数とか関数の名前
- カラフルな単語を探す。明確で具体的という意味。
get
とかsize
よりふさわしい単語があるかもしれない。通常そのふたつには軽量なメソッドが期待されている。へーそうなんだ。filter
では選ぶのか除くのかわからないからselect
やexclude
にすること。へいへい何か言われてますぜ Django の旦那。- PHPの
explode
はカラフルだけどsplit
との違いがわからん。そういうやりすぎはいかん。 - 範囲の場合、
start
とlast(それを含む場合)
あるいはend(含まない場合)
を使う。
- 変数に重要な属性をつける。
- 単位とか、チェック状況とか、フォーマットによる情報とか。
start_ms
,size_mb
,untrustedUrl
,plaintext_password
など。 - 全部じゃなくて、意味を間違えたらバグになりそうなところに使うこと。そういう視点でコードを見るのが大事なんだね。
- 単位とか、チェック状況とか、フォーマットによる情報とか。
- 名前の長さはスコープの大きさで決める。
- 名前の長さはスコープの大きさに比例する。
- だがまあ基本的にスコープは短くすること。生きている変数を減らし、邪魔な変数は消す。
- bool には否定形の名前を使わない。
- if の式に否定を入れないために、ひとつの if の中身を空っぽにするのはアリ。これはやってなかったなー。
- 機能を追加した自分にとっては適切な名前でも、他の人が見たらどうかを考えること。
- デバッグ情報を印字する
--run_locally
というオプションがあった。だけど具体性に欠けるという問題があり--extra_logging
--use_local_database
というふたつのオプションに分離された。オプションは増えるけど理解しやすい。
- デバッグ情報を印字する
美しさ
# まあつまりはこういうこと。
[ 1, 2, 3, 4]
[100, 200, 300, 400]
# コードをこんな感じで段落にまとめるのもいい。
# こういうのは好きでよくやってるけど、段落っていうんだこれ。
# ...する処理。
foo()
bar()
# ...する処理。
baz()
# プロジェクトの規約にしたがって一貫性をもたせるのが大切。たとえ間違ったスタイルを使っていたとしても。
コメント
- コメントはひどい名前の埋め合わせに使うものではない。
優れたコード > ひどいコード+優れたコメント
である。 - コメントには「監督のコメンタリー」を書く。自分の考えとか、コードが汚い理由とか。
- よく使われるコメントのフォーマット。
- TODO: あとで手を付ける
- FIXME: 既知の不具合がある
- HACK: あまりキレイに書けてない
- XXX: 大きな問題がある
- 初めてそのコードを見る人が隣に座っているとして、そいつに口頭で説明することをコメントに書く。
- これはいい視点、いいハックだよね。これを実践したら、理論上、完璧なコードになるのでは?
- Python にはキーワード引数があるからいいんだけど、C++ や Java ではインラインコメントで引数を説明するといい。
Connect(/* timeout_ms= */ 10, /* use_encryption= */ false);
こんな感じ。
制御フロー
- 関数内にひとつしか return を書いてはいけないと思っている人がいるがそれはアホくさい。
- 悪名高き
goto
は使わないこと。 - ネストを浅くすること。ネストを削除するには、失敗ケースをできるだけ早く関数から返すといい。
式の分割
- 一度しか使わない変数だとしても、読みやすさのために「説明変数」を書くのはアリ。
- or とか and の式が複雑になっちゃったら、ド・モルガンの法則を使って逆にしてみる。
コードを分離するタイミング
- 分割するのは、そのコードが解決しようとしている高レベルの目標とは無関係の、下位問題を解決しているコード。
- そもそもエンジニアリングとは、大きな問題を小さな問題に分割して、それぞれの解決策を組み立てることに他ならない。
- プログラムの多くのコードは、その他のコードを支援するためだけに存在する。たとえば関数の事前処理事後処理などがそれにあたり、そういうのを分離すること。
- 分離はやりすぎないこと。
- 新しい関数を追加すると、ごくわずかに、しかし確実に読みづらさのコストが発生する。そのコストが相殺されるときだけ追加していい。
コードを小さく軽量に維持する
- 「その機能の実装に悩まないで、きっと必要ないから。」
- 最終的には不要になる機能を四苦八苦してみろりHPへ実装しようとしていたぼくには、とても耳が痛いコメントだ。
- プロジェクトが進んでいくとファイルが増えていく。最終的にはいろんなディレクトリにファイルが散らばり、バグを見つけるのもだんだん面倒になっていく。コードを扱うのが厄介になって楽しくなくなる。新しい機能を追加するのが苦痛になる。
- ならどうすればよいか、コードを小さく軽量に維持するしかない。
- 書いたものをもったいながってないでがんがん削除していけ。
- これはあらゆるクリエイティブな分野で有効なハックだと思う。
感想
半分以上はすでに他の本にも書いてあったことだ。エンジニアたちはとにかくキレイで整頓されていて美しいものが好きらしい。きっと彼らのデスクは整頓されていて、カップには必ずコースターを敷き、手指は清潔で、家賃の滞納などしたこともない人々なのだろう。なぜだろう、なんだかそんなわけねー気がする。