ファンタジーかSFみたいなのを読みたかったんで、それっぽいものを選んで読んだ。サマリと感想を書く。



主人公のダニーはもっぱら技術者気質で、こだわりをもってスゲー発明品を作り出しまくっている。共同経営者の手腕で儲けも上々、美しい婚約者もいて順風満帆ってところだ。が、そのふたりの裏切りによりダニーはあっという間に会社を追い出され、株券と発明品も取り上げられてしまう。許さんぞーとふたりの家に乗り込んだダニーだったが、クレイジー元婚約者の手にかかってあえなくコールドスリープに叩きこまれる。
30年のコールドスリープから目覚めた無一文のダニーは例のふたりを探すが、なんと彼らはあの直後に会社を失い破滅していた。あの直後、ダニーから取り上げた株券と発明品を何者かに盗られたそうだ。ざまあーっ! …は良いんだけど、ひとつ気になることがあった。現在の世の中に、どうも彼がずっとあたためていたのと似た発明品が出回っているのだ。しかもその特許は彼の名前ではないか。もちろん自分にそんな記憶はない。これはなんぞや? とか思ってたら偶然スゲー噂を耳にする。そう、タイムマシンが実在すると。さては、未来の自分がタイムマシンで過去に戻り、発明の特許をとり、例のふたりを懲らしめたんじゃないか? と考えたダニーはその道筋を自分もたどることにする。タイムマシンの発明者を見つけ出したダニーは言葉巧みに自分を実験台にさせ、過去に戻ることに成功する。
過去に戻ったダニーは発明をして特許をとり、例のふたりのガレージから盗まれた自分の発明と株券を持ちだしてしまう。すでに上位互換があることだしその発明はさっさと破棄してしまうのだが、株券は、彼にずっとなついてくれていた小さな女の子に譲渡することにする。いまから30年、自分はまたコールドスリープするんでいなくなっちまうけどゴメンねーと言って。しかしその女の子は行かないでくれと頼む。実はダニーに惚れ込んでおり、元婚約者がクレイジーであることも気付いており、ずっと心配してくれていたのである。であれば成人したときまだ好きでいてくれるならば、そのとき自分と同じ時代までコールドスリープして来たまえと言い残すダニー。
未来で再会したふたりは結婚し、こんどこそ信頼できる共同経営者と会社を作ったダニーは幸せに暮らすのだった。



いや実はびっくりしたことがあってな。この女の子はフレドリカちゃん、ニックネームをリッキイっていうんだけど、この子、おととしくらいハマってSSまで書いたゲーム「新世界樹の迷宮」の元ネタだ。あのゲームのヒロインもフレドリカちゃん、ニックネームをリッキイっていって、過去の世界からコールドスリープによって主人公の時代に飛んでくるんだよ。絶対元ネタだ。いやーびっくりしたよ。本編よりもこの偶然の出会いに感動した。

「すべての猫好きにこの本を捧げる」と序文でのたまってるわりには物語の本筋に猫が関係しない件について。いや確かに関係しないんだけど、「書いてるのは猫全然関係ないSFバナシなんだけど、猫が好きだからちょこちょこ猫を登場させたい」みたいな猫好きのオーラ圧を感じることはできた。であれば多分、猫好きが読んだら、「ああその気持ちわかるわかる」ってなるかもしんないね。そもそも「猫好きに捧げる」んであって「猫好きにオススメ」ではないんだから猫が活躍する確約はなかったな。

主人公がアクティブで前向きなのがよかった。楽しめたよ。



余談。猫好きの中の猫好きである、親愛なるルームメイトにこの本の話をしてみた。
俺「夏への扉って本を読んだんだけどさ、これが…」
ル「ああ猫全然関係ないやつですね。昔まんまと釣られました」
俺「あはははは!」