これも床屋のおねーさんに薦められたので読んだ。サマリと感想を書く。



新首相がパレード中、爆弾を積んだラジコンヘリによって爆殺されてしまう。容疑者として上げられたのは青柳さんという好青年だ。彼は過去花火工場で働いてたことがあり、現場近くの定食屋でご飯食べてる姿も目撃されてるし、ラジコンを買っている姿も確認されており、痴漢をはたらいた容疑もある。見かけは好青年だけど、ヤーバイ人なんだねえとTVの前の人々は思った。
一方青柳さんは、唐突な容疑に戸惑っていた。いや花火工場で働いたけど工場長は自分らに絶対火薬に近づけなかったし、定食屋には行ったことないし、ラジコンは自分で買ったことないし、痴漢も冤罪だったよ! というわけだ。そう、彼は首相殺害の犯人として、国家とか警察とか、巨大な力によって仕立てあげられようとしていたのである。普通ではありえないほど暴力的な警察が大勢追ってくるし、おとなしく認めれば罪を軽くするよう補助してやると唆され、青柳さんはもう諦めちゃおうかと思う。が、昔からの友人たちはTVで報道される情報が明らかに自分たちの知っている青柳くんとは違うと確信し、彼の逃亡を影に日向に助けてやる。さらに逃亡中、殺人鬼や闇医者、元犯罪者たちも青柳さんを助けてくれる。彼らの助けを受け、青柳さんはからくも逃げ切り、顔を変えこれまでの生活を捨て、生き延びることになったのである。



先回感想文書いた『魔王』はそこそこだったけど、今回は結構好きだったな。『魔王』でも『ゴールデンスランバー』でも、登場人物たちのキャラ付けが過去を頻繁に挿入することで行われている。それって『魔王』のときは結構うっとうしかったのだよな。「……と彼はよく言ったものだった」が特に鬱陶しかった。けれど『ゴールデンスランバー』では散りばめられた過去がキャラ付けにとどまらず話の伏線になってて、最後にはざーっと回収されるのが快かった。七美ちゃんがスタンプ押してくれたところはぞわぞわっときちゃったぜ。ひえー。

しかし警察とマスコミにうんざりさせられる話だ。そのぶん青柳くんのお父さんのカッコよさが際立ってたなあ。「覚悟を持てよ」! 青柳くんを助けてあげた周囲の人たちの青柳くんへの信頼も見てて心地よかった。「たいへんよくできました」!!