概要

知人: 視力回復といえばこの本がいいよ。昔、私が入院したとき、本を読みすぎて視力が落ちちゃったのね。そのときにこの本に書いてある目の筋トレで、視力回復したことがあるの。

緑さん: 買ったぜ。

今回は、 “目の筋トレ” の要旨と、その効果について書く。

 

要旨

明暗トレーニング。

  • “明暗トレーニング” で虹彩を鍛えよう! 言わずもがな、虹彩は我々の目の色がついている部分だ。瞳の大きさを変えて、網膜へ達する光の量を調整する。
  • 明るい光景と暗い光景を4秒ずつ見て、虹彩をむりやり動かすことを繰り返す。1セット15回、合計2分。
    • 明るい光景は、日中は外の風景、夜間は蛍光灯を直視している。
    • 暗い光景は、本で目の前を遮ることで実現している。

方向遠近トレーニング。

  • “方向遠近トレーニング” で眼球移動筋と毛様体を鍛えよう! 前者は目をぐりぐり動かす筋肉で、毛様体は水晶体の厚みを調節する筋肉だ。
  • 本書付属の15点紙を、顔の5cm前に配置する。その状態で1点視、2~5点視を繰り返す。
  • 詳しくはここには書かないが、4秒x(1点視15回+2点視12回+3点視9回+4点視6回+5点視3回)で1セット、合計3分。
    • 1点視は、1点を見つめること。
    • 2~5点視は、複数の点を “均等に見つめる” こと。

以上を、朝、昼、晩に、それぞれ4セットずつ行う。明暗+方向遠近1セットで5分なので、毎回20分ってことね。

 

4週間継続時点では効果なし

トライしてみたが、効果はないな。要因として考えられるのは……

  • 本書が提案しているトレーニングは不適切、
  • 緑さんの実施方法が間違っている、
  • 4週間では足らず、より長期間の継続が必要、
  • トレーニング自体の効果はあるが、それを上回る時間で眼鏡をかけてモニターを見ているので、効果が帳消しになっている、

あたりであろうな。

 

所感

 

2~5点視の説明が不十分

この本は、2~5点視について以下のような発言を繰り返す。

  • “2~5点を均等に見つめる”
  • “2~5点を漠然と均等に見る”
  • “2~5点視は反り目で行う。うまくできない人は反り目を練習してみて”
  • “最初はうまくできなくてもいつかできるよ”

意味がわからない。“最初はうまくできなくてもいつかできるよ” 等とのたまう前に、視界がどのように見えていれば “均等に見つめる” ことになっているのか書けと言いたい。 “均等に見る” ってどういうことだ? 2点を均等に見ていることになるのは、以下のどちらかのような気がするが……

上の例では、結構近くを見ている感覚がある。下の例では、遠くを見ている感覚がある。遠くを見ているから、近くにある2点はピントが合わなくて2重に見えるのだ。これは遠くを見るトレーニングなのだから下の方を採用すべきか? と思うが、判然としない。

また、 “反り目で行う” って何なのだ? そもそも反り目という言葉は辞書に載っていない。寄り目の反対で、目を顔の両側へ寄せていく行為らしいが、人間にそんなこと可能か?

 

緑さんは自分の毛様体が嫌い

サボっているからだ。緑さんの目が近視なのは、毛様体が、水晶体を薄くすることをサボっているからだ。モニターばかり見ているから、近くにしかピントが合わなくなっているだって? だったらモニターは見えろよ。モニターばかり見ているからモニターより遠いものは見えなくなる……なら許すが、モニターすら見えないならぼくがモニターばかり見ていることとは関係なく毛様体がサボっているだけだろ。これだから不随意筋は嫌いなんだ。

なお、 “方向遠近トレーニング” についてはこの通りの有様だけれど、 “明暗トレーニング” のほうは気持ち良いぜ。たわけた毛様体とは違って、明暗トレーニング中は、虹彩がじわりと動くのを感じる。このトレーニングを始めてから、眩しい風景を見ることにすこし慣れて、サングラスをかけずとも外を出歩けるようになったんだ。不随意筋の中にも、虹彩のように見どころのある奴もいる。

 

近視には2種類あるらしい

近視は、何らかの理由で、目の中の焦点距離が、網膜よりも手前 (水晶体側) になっちゃうことで発生している。その "何らかの理由" というのが、以下の2通りある。

  • 屈折性近視: 水晶体が十分薄くなってない……つまり毛様体のせい。
  • 軸性近視: 眼球が歪んでいて、光を受け取る網膜自体が、奥のほうへ移動しちゃっているせい。

後者のほうは初めて知ったな。もし後者の理由で、緑さんの視力が弱いとすれば、毛様体のせいではなかったことになるか……。また、後者の理由であったとしても、眼球移動筋と毛様体のトレーニングで矯正することが可能であると、本書は言っている。