俺は仕事という言葉をあまり使わないようにしている。理由はぱっと思いついたものがふたつある。


仕事っていうと、なんだか「やらされている」とか「生活のため仕方なくやってる」みたいな響きがある。俺は、自分がやっていることは全て「やりたくてやっている」と思っていたい。だからそういった響きのある言葉を使うのはイヤなのだ。

一般的に「仕事」は重きをおかれすぎていると思う。「予定あかないの? まあ仕事だったら仕方ないよね」「嫌なことばかりだけど、仕事だからさ…」。こういうのは絶対にイヤだ。俺の生活上の方針は、24時間をなるたけ「自分が楽しんでいる時間」で満たすことだ。具体的に何をやっているかはどうでもよい。仕事は、そのどうでもよい複数の要素のひとつの区分にすぎない。
ちと話が横道にそれるけれど、俺は毎日ジョギングをしていることを褒められることがある。「よく続くね」、「精神力が強いんだね」。いや、褒められるのは嬉しい。けども毎日走るというのは偉いことではないんだ。誰しも24時間を、なんらかの複数の行動で満たしている。俺の場合、その中の30分にジョギングが入っているだけだ。ルームメイトの場合、30分スキンケアを入れている。それと何も変わらない。仕事も変わらない。何も変わらない。ただのひとつの行動にすぎない。
俺はそういう風にものごとを扱っていたい。

そもそも「明日仕事あるから今夜はムリー」だとか「仕事マジ疲れた…」ってなんぞ!? 今夜早く寝ないといけないのは職場に遅刻しないよう行くためであり、マジ疲れたのは特定のクソ野郎のせいである。断じて「仕事」のせいではない。24時間のうちの「仕事」に分類される時間帯のなかには、楽しめることがいくらでもあるはずだ。そこを楽しめばいい。クソ野郎はいつか殺せばいい。


とはいえ。
親愛なる俺のルームメイトたちのひとりは、メッチャ「仕事疲れた」とか言う。そのとき思う。ちょっと俺、ストイックすぎる? 意識高すぎる? あんまり厳密に考えず、疲れるモンは疲れるとぼやき、うんざりしているのも、いいんじゃないか? こういうことを思わせられるってのは、最近浮かび上がってきたルームシェアの利点のひとつだ。