サマリーと、印象的だったところを適当に。

ビビリで若干厨二病の草食系男子346くんが、東京に進学して生活する話。世慣れした連中と付き合って、「やべー世の中マジ広いなこえーな、でもすげーな」などとまあまあ楽しくやってく346くん。あるとき美禰子さんという超チャーミングな女性に会い、好きになるけども、なんか言い出せない346くん。美禰子さんがいろいろ思わせぶりをやってくるので、346くんは一念発起思いを打ち明けようとするのだけど、そのときには美禰子さんはもう結婚が決まっていて、「やべー世の中マジやるせねーな孤独だなー」みたいになりつつも346くんはこれからもまあまあ頑張ってやっていくのであった…。だいたい合ってる。


全体的にはそんなに面白いとは思わなかったのだけど、局所的にツボるところがちょいちょいあった。冒頭から主人公がいきなりゴミを車窓から投げ捨てて「うわクズだ」と引いた次の場面で他の登場人物も立て続けにポイ捨てしやがったり、346くんがしばしば東京の事物に「わーすごい(小並感)」みたいなカワイイ感想をのたまったり、主人公の同級生がやたらコミュ力あふれるモボだったり。あと個人的には終盤、346くんが広田先生の恋バナできゃっきゃするところが、少し思うところがあってクスッとしたかな。
美禰子さんに関して。美禰子さんの方も346くんのことが気になっていて、でも自分から打ち明けることもできなくて、そんな自分を「ストレイ・シープ」とかぶっちゃったりして、結局他のところへ嫁に行きました。みたいな推測ができる。てか多分そう読むのが自然な流れなのだろうけど、そう推測するには、ちょっと346くんに魅力がなさすぎるんだよなー。あくまで俺の価値観では、だけど。なんかまったくイカしてないんだよ。
まあ俺のようなあけすけな人間には向いてない話だったかもしれない。どうとでもとれるような玉虫色の状況を、みようによって何とでも考えられるような微妙な人間関係を、迷い羊(ストレイ・シープ)のような状態を楽しむような小説だった。

当世風にいえば、「あいつはホントは俺のことどう思ってるのかな」みたいなのを、明らかにしないでいるドキドキ感を楽しむって感じ。たしかにそういうのは、わりと楽しい。